先日の安田峰俊さんの分析も面白ったですけど、今回は「ロシアと中国の比較」という主旨だったので、最近の日中関係についてより冷静に見られる内容になっています。以下、印象的だった部分をピックアップしてみます。
(1)ウクライナ・ロシア関係
小泉:ウクライナ・ロシア間の2026年中の和平合意は難しい。でも、ロシアがいまの規模で戦争を続けることも難しい。あと1年が限界。私(小泉さん)がもしウクライナ軍にいたら、「あと1年は耐える」ということを考える。逆に、ロシアからすると「あと1年で片をつける」ことを考えるので、政治合意がなされなければ、2026年は激しい戦争になる。
小泉:プーチンにとってのトランプの利用価値は「アメリカの分断を広げてくれる」こと。「弱いアメリカ」でいてくれることが大きい。トランプ支持者たちの「孤立主義的な傾向」も嬉しい。アメリカには何もしないでいてほしい。ロシア人の言う「多極世界」は、「アメリカ人は何もしないで南北アメリカ大陸に引きこもってろ。ユーラシアは俺がもらう。(ユーラシアの)南は中国にくれてやる」というもの。
興梠:トランプ政権は台湾の頼清徳総統と距離を置いている。今後、台湾の中で「中国と手を組みたい勢力」がかなり強くなってくるかもしれない。第二次トランプ政権は安全保障の観点がまったく欠落している。彼は最近になればなるほど、関税だとか、中国に「大豆買ってほしい」とか。これは禍根を残すことになる。
小泉:ウクライナのイェルマク大統領補佐官の汚職による逮捕は大きい。5年前まで政治経験のまったく無かったゼレンスキー大統領が政治家をやってこれたのは、イェルマクとそのチームのおかげ。ここで彼が抜けたのは痛い。
(2)中国問題
興梠:中国が日本に対して矢継ぎ早にカードを切ってくる時は、ロシアの例と同様に「弾切れ状態」で、冷静に見ると制裁レベルも低い。切るカードが無くなると、自然とトーンダウンしてくる。
興梠:例の「ポケット」局長は、睨みをきかせたシーンの後、日本企業に会いに行って、「大丈夫だから」となだめている。中国は、高市政権にはガンガン圧力をかけたいけど、日本の財界が動揺して中国から撤退することを一番怖がっている。だから、最終的な強烈なカードを切れない。トランプ関税の影響で中国国内の工場が東南アジアに移っている。iPhoneも工場を一部インドに移そうかとか、雇用が減っている。工場で働いている人は農村の若者。
峯村:地方も入れると中国の実際の失業率は40%を超えているんじゃないか。中国の地方政府が何をやっているかというと、雇用を無理矢理作っている。用も無いのにガードマンを雇ったり、大卒のけっこう優秀な子たちがガードマンをやっている。中国が一番気にしている指標は失業率で、失業率が上がると治安が悪化して、政権に影響が出てくる。
興梠:かつて鄧小平が、ソ連が作り上げた5か年計画という共産主義体制の上に民間企業を入れてきた。毛沢東だったら絶対にやらせません。だから中国は長生きしている。習近平は「民間企業を抑え込みたい人」で、アリババとかIT企業とか不動産企業を抑え込んで、それが内需が冷え込んでいる理由。彼は自分が掲げたブループリントで国を運営したい。でも、中国の雇用の9割は民間企業で回っている。
興梠:台湾有事がいつ起こるかについて、中国の中では「決まっていない」。中国の台湾に対する基本政策は変わってなくて、「文攻武嚇」というやり方。口でわーわー言って相手を脅して、一方で武力は威嚇なんです。コスパが一番いいのは文攻です。情報操作をしたり、メディアに浸透したり、野党と仲良くして政界を揺さぶる。あるいは、アメリカと仲良くする。トランプと握手すれば、台湾に対する威嚇になる。これはぜんぶ文攻です。
興梠:「武嚇」というのは武力で威嚇をすることだから、プーチンがよくやる「核を使うぞ!」とかですね。この二つによってまったく血を流さずに相手を降伏させるんです。孫子の兵法なんです。血を流すのは一番下手な兵法で、自分は怪我をするし、相手のインフラを破壊してしまうし、それで占領したって大変ですよね。だから今のままいただくんですよ。
興梠:ただ、一番心配なのは、習近平という最高指導者はプーチンと歴史観が似ている所がある。独自の世界観と歴史観を持っている。周りが見えなくなって、焦り始めて、はやく歴史に名を残したいとか。香港返還と経済改革は鄧小平が成し遂げて、毛沢東は内戦に勝って共産党政権を打ち立てて、朝鮮戦争で北朝鮮を守った。でも、習近平はいまのままだと何もないんですよ。もし個人的にそういう思いが募って、年齢がどんどん高くなると、彼はもう任期も撤廃してるからずっとやれるので、どういうメンタルの変化が起きるのか、さっぱり分からない。
興梠:なぜプーチンがあの日にウクライナに攻め込んだのか私にはよくわからない。クリミアを獲ったらG8から追い出されて、いいこと一つもない。でも彼にとっては自己実現なんですよ。
小泉:私たちが考える合理性と、プーチンや習近平が考える合理性が同じかどうか分からない。そこが一番こわい。
以上、勉強になることだらけで、引用だけでこんなになっちゃいました。地上波の番組でここまで中身の濃い座談会はまず見られないでしょう。
小泉さんが衛星写真を使って、戦車や兵器の数的変化からロシアの継戦能力を分析している中、興梠さんの「ダミーということは無いか?」という主旨の指摘も興味深かったです。でも、いまのロシアにそこまで余裕ある?そんな余裕があったらとっくにウクライナを占領してません?と個人的には感じます。だって、北朝鮮から兵隊借りてるぐらいなんでしょと。
2本目の動画のラスト5~6分の「今後の中国とロシアの連携」という所も面白かったですね。今年9月のロシア・ベラルーシの大軍事演習に、「中国は参加していないが、インドはシレっと参加していた」という話は、当時インドのモディ首相とトランプ大統領が喧嘩していて「当てつけで参加した」が、「中国はアメリカとの関係を壊したくなかった」(小泉さん)ということが読み解けると。そう考えると、インドと台湾っていまどんな感じだっけ?ということは調べてみたくなりました。
しかし、PIVOTの最近の各動画の再生数(12月15日夜時点)を見たら、今回の1本目の動画は40万再生で、2本目の方は96万再生と、公開して2日しか経っていない後編の方がすごいことになってます。他の動画と桁が一つ違うので、この企画はまたやりそうですね。
では、また明日!
Jun

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