2026年2月17日発売。定価「2,420円」。
本の分厚さとお値段から読了に時間がかかるかと思いきや、文字が大きいし、宇都宮さんの短くバンバン切っていく文体のおかげで、サクサク読み進められました。最近のSNSや掲示板文化の影響で句読点を打たずにダラダラなげぇつぶやきをする人を見かけますが、本書は潔いぐらい大胆に切っていくので(でも温かみのある印象を受けるのが、そこはさすがプロの仕事!)、彼女の文体に触れたことのない方には新鮮かと思います。
第1章~第4章は、これまで公開済の彼女のコラム・著書等をまとめたもので、特に、都築章一郎先生、タラソワさん、ミーシンさんに直接取材した際のエピソードが示唆に富む内容です。私も彼女の著書を読んだのはだいぶ前になるので、「ああ、こんなこと書いてあったな・・・」と少しずつ記憶が蘇ってきました。1月に発売された山口本が「羽生結弦通史モノ」とするなら、本書は、羽生さんのスケートに対する「国内外の重鎮の評価・解釈」を学べる本かなと思います。そういえば、2020年の全日本のレミエンと天地様に対する都築先生の感想も登場します。「コーチの立場ならそう言うかな(だからといって正しいわけじゃない)」と、先日のメンシプ踏まえて私はそう感じましたね。
第5章の羽生さんの独占インタ(オンライン)は、なんと1時間半もかけて行われたとか。本書の定価の2,420円のうちの(たぶん)2,000円分ぐらいの価値はあるので、これから購入する方のことも考えて、ややぼやかして書いておきます。
まず、宇都宮さんの質問のスタイルが独特なんですよ。囲み取材でのペン記者の質問や、フィギュア雑誌の質問ではまず見かけない視点で、「○○ということですか?」「△△だと思いますか?」という問いかけが随所で見られます。
分かりやすい例で言うと、食事やお出かけをする仲の良いお友達がいるとして、そのお友達が「1時間前には待ち合わせ場所にいることをマイルールにしている人」だとします。そういう人に対して、「1時間なにしてるの?」とか「仕事でもプライベートでもそうなの?」という訊き方が普通だと思います。それが、この本での質疑応答では、「あなたは完璧主義者ですよね。そんな自分をどう思いますか?」みたいな感じなんですよね。
これ、もし、自分だったら、「いや完璧主義者じゃないです」と否定で返すのも申し訳ないので、けっこう返答に困るなぁと感じます。しかし、羽生さんの応答がなかなか巧くて、否定はもちろんしないし、かといって全面同意するわけでもなく、発言内容は「いつもの羽生結弦」という仕上がりなので、見習いたいなぁ・・・と感じましたね。その辺りを味わってみるのも面白いと思います。
震災についての話もありました。この取材はメンテ発表後に行われているので、昨年の夏・秋以降に実施ってことになりますが、先日のメンシプでの話とピタリと一致しているので、その頃から言語化できるぐらい考えていたことなんだな・・・と感じましたね。
あとは、「メンテの目的と狙い」がけっこう具体的に語られているので、そこは本邦初公開かもしれません。
印象に残っているのはこんな所でしょうか。類書というものがまず存在しない、独特の世界観をお持ちの宇都宮さんの文章が面白いし、それだけでなく、羽生さんのインタも収録されているので資料的価値も高い!写真もけっこう多いので、これはもう一家に一冊モノかなと思います。
では、また明日!
Jun

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